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ギネス認定 ジャニー喜多川氏インタビュー
(読売新聞  2011年10月21日)
日本のショー 世界と戦える
 SMAP、嵐を始めとする多くのアイドルを育て、近年は帝国劇場(東京)の舞台制作に心血を注ぐジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長(79)。
 様々な分野の世界一を紹介する英国のギネスブックに芸能活動の成果で世界一の認定を受けた。これまで表舞台に出なかった喜多川社長が読売新聞の取材に応じた。(文化部 塩崎淳一郎)
 間もなく80歳を迎えるものの、精力的に活動を続ける。今秋「ギネスブック2012年版」で、<1>1974~2010年に計232曲のナンバーワンヒット曲を生んだ <2>2000年から10年の間に計8419回のコンサートをプロデュースした、という業績で世界一認定となった。
 「事務所の後進が今まで以上に勉強に努め、自力で新たな世界記録を作ってほしい」と、笑顔で世界一の喜びを語る。日米で育ち、両国の娯楽産業を熟知する。歌、舞台、テレビ、映画業界の豊富な知識と人脈で長年、日本の芸能界の第一線で活動してきた。
 「日本製カメラや自動車は世界一の定評がある。一方で、日本の芸能界は米を見習っているだけとの印象を内外で持たれていた。今回のギネス認定で、日本の芸能界が世界を相手に戦える日が来たと思ってくれた人もいるはず」と続ける。
 韓国の芸能界が積極的に日本に進出する中、手塩にかける帝国劇場の舞台作品を、アジア圏などの海外で上演する構想には慎重だ。「来日してほしい。今も多くの外国人に舞台を見てもらっている。米のニューヨークやラスベガスも結構だが、もっと帝劇に外国人が来てくれたらと願っている」。芸能界には今も話題作りが先行する「海外進出」が多いが、夢の一つに挙げながらも地道に足元を固める。
 芸能界に米時代を含めて60年以上かかわった。「僕は1日を24時間ではなく、30時間と考えて多くの仕事をこなした。普通の人なら150歳分働いた充実した人生だった」と振り返る。
 戦後、米の劇場で美空ひばりの知遇を得て、日本の芸能界との縁が生まれた。「今の日本に僕以上の経験を持つ人は少ないはず」との自負がある。「日本のショービジネスの進化を手がけながら、僕自身も楽しんでいる。常に競争にさらされるが、毎日が楽しくて仕方がない」
 今回、顔写真を初めて公にした。「昔、松島トモ子さんの楽屋でお茶を出すお手伝いさんがいて、それが母親と知り驚いた。懸命に世話をする母の姿を見て、裏方の僕は表に出ないと決めた。タレントを立てることが大事」と考えてきた。
 「世界中の観客が、帝劇のジャニーズ公演を見に来る日が来たらうれしい」と繰り返す。浮沈の激しい芸能界。夢を追う思いの深さが年齢をはねのけ、自らを仕事に駆り立てる原動力となっているようだ。

「帝劇にアイドル」の衝撃
 帝国劇場公演では、喜多川社長が、作、構成、演出を一手に引き受ける作品も多い。
 帝劇にジャニーズ事務所が本格進出したのは2000年11月。堂本光一主演の「MILLENNIUM SHOCK」は、ドラマの中にもショーの色彩が強い作品で、チケットは即日完売だった。
 ジャニーズの登場は、座長芝居中心の商業演劇路線の中で異彩を放った。帝劇を持つ東宝はその後、観客の若返りを目指す路線を明確にした。
 堂本の舞台は毎年恒例となり、滝沢秀明の「滝沢革命」、亀梨和也の「DREAM BOYS」も登場、帝劇100周年の今年は3人で4か月間の興行を占めた(堂本の舞台は東日本大震災のため途中で上演中止)。
 東宝の増田憲義専務は、今の路線を敷いた一人。「最初の年は、『アイドルを帝劇に出すなんて』『若い観客はマナーが悪く、帝劇の品格が下がる』という誤った先入観の批判を受けた。だが、堂本の舞台の姿、作・構成・演出の喜多川社長の手腕が反対論を吹き飛ばした」と語る。
 若きアイドルが次々と帝劇の舞台を踏む。「彼らの成長は早く、舞台は年々熟成、米のブロードウェーやラスベガスの関係者も見て驚くほど質が上がった」と語る。
 この11年、「芝居の要素をもっと入れたい」という東宝と、「歌と踊りで表現したい」というジャニーズとの意見の相違もあったが、こうした摩擦が舞台の完成度を高めたとも言える。
 映画・演劇評論家の萩尾瞳さんは「ジャニーズは格式の高い劇場で長期公演を行い、演劇界で認められる利点があり、東宝は若い観客を呼ぶことに成功、双方にプラスに働いた」と振り返る。「お金をかけ、最新技術を駆使して舞台を作る。女子供相手と思われていたジャニーズ文化を広く浸透させた。タレント層は厚く、今後も舞台制作を続けていくだろう」と予測する。

※ 10月21日付の読売新聞朝刊の23面(文化面トピック)「日本のショー世界と戦える ジャニー喜多川氏ギネスに」→ 光一さんの写真(「SHOCK」フライング)

※ 10月22日付の朝日新聞夕刊 → ジャニー喜多川氏インタビュー掲載、SHOCKの劇中写真あり

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